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三猿「見ザル・言わザル・聞かザル」

かなり前に、「見ザル・言わザル・聞かザル」について、「うる星やつらの博物誌」で取り上げたのですが、その時は、孔子が弟子の顔淵に語った次の一節を元ネタとしました。

「礼に非ざれば視ること勿れ、礼に非ざれば聴くこと勿れ、礼に非ざれば言うこと勿れ、礼に非ざれば動くこと勿れ。」

つまり、「見ざる、聞かざる、言わざる、しざる」の教えですね。

この三猿の研究は、意外なことにほとんど進んでいないようなので、補足として次のブッダと弟子のアーナンダの会話を記しおきます。


ブッダ最後の旅 (大パリニッバーナ経) 中村元訳 岩波文庫5.18.09


「尊い方よ。わたくしたちは婦人に対してどうしたらよいのでしょうか?」
「アーナンダよ。見るな。」
「尊師よ。しかし、見てしまったときには、どうしたらよいのでしょうか?」
「アーナンダよ。話しかけるな。」
「尊い方よ。しかし、話しかけてしまったときには、どうしたらよいのでしょうか?」
「アーナンダよ。そういうときには、つつしんでおれ。」




これは、「見ざる、言わざる、しざる」の教えですね。
「ブッダの最後の旅」については、以前にらんま/考でもとりあげました。


リンク
うる星やつらの博物誌 
三猿「見ザル・言わザル・聞かザル」

ONE PIECE THE MOVIE 
エピソードオブチョッパー+冬に咲く、奇跡の桜

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三猿 日光東照宮 悪事 VS 秘密 part1

クイズミリオネアという番組で、次のような問題が出たそうです。

日光東照宮の三猿の彫刻は、何に対して「見ざる言わざる聞かざるべきだ」と表現している?

    A:悪事   B:秘密
    C:不幸   D:欲望

答えは、A:の「悪事」だそうです。しかし、これには異論を持つ人が大勢いるようで、「秘密」か「悪事」かで、wikipedia でも編集合戦が行われて、今は半保護になっているようです。

そんなこんなで、「うる星やつらの博物誌」の「三猿」のページにも、大勢のかたが訪れてくれたようです。ありがとうございました。

それで、実際はどうなのか? と言うと、うーん。僕には、4つとも正解のように思えるのですが。(^^)

日光観光協会のサイトでには、次のようにあります。
http://www.nikko-jp.org/perfect/toshogu/sanzaru.html
子どものときは悪いことを「見ザル、言わザル、聞かザル」。

でもこの解釈は、誰が? 何時?行ったのか? という疑問があります。なぜこんなことを言うかというと、日光東照宮の三猿は、昔は今ほど有名ではなかったようなのです。

先に、江戸から明治ごろに書かれた、日光東照宮の解説書を6冊ほど見てみたのですが、「厩には猿の彫刻がある」というような解説はあるのですが、三猿について触れられているものは一冊もなかったのです。

一番詳しく書かれたものでも次のようなものです。

案内者は次の御厩(おうまや)の説明にかかる。
『これは御厩、先年まで神馬(しんめ)がおりましたが、三十七で亡くなりました。今は明き屋でございます。三間に五間で銅瓦葺(どうかわらぶき)、長押(なげし)の上に松と庚申猿(こうしんざる)とが彫ってあります。境内の建物で、白木造はこれだけです。』

これが眠り猫についての記述になると次のようになります。

潜門上の蛙股の上のが有名な左甚五郎の眠り猫というのである。
 『この猫のいるためか、御廟内には、昔から決して鼠がおりません、眠って居ても名工の魂が籠もっているからでしょう』と権さんは真面目に説明した。
 『本当に不思議ですわねえ』とお磯は感嘆する。
 『町にいる猫も、昔からその身体に蚤が決してつかないと申します』
 『はてね』と敏雄は真顔になって『しかし思ったよりも小さい猫だ』

このように、当時から眠り猫は有名であったことが窺えます。

そして日光観光協会の解説では次のようにあります。
http://www.nikko-jp.org/perfect/toshogu/neko.html
 東回廊の奥社-おくしゃ-参道入り口にある。左甚五郎-ひだりじんごろう-の作と伝えられ、東照宮の数ある彫刻のなかで最も有名な彫刻だ。
 眠り猫の真裏に雀-すずめ-の彫刻がある。猫が起きていれば雀は食われてしまうが、東照宮では猫も居眠りして雀と共存共栄。戦乱が治まり、平和な時代がやってきたことを表しているという解釈もある。

前者では、「眠っていても鼠が寄り付かない」と言っているのに対して、後者では、「猫も居眠りをして雀と共存共栄している」という対照的な解釈になっています。

更に、昭和43年に初版の、「原色日本の美術16 神社と霊廟 小学館」を見てみたのですが、厩の写真は載っているのですが、三猿の説明は一切ありませんでした。
これらのことからすると、日光の三猿が一般に有名になったのは、案外最近になってからなのかもしれません。

そこで、これらのことを踏まえて、三猿についての説話をいくつか見てみたいと思います。まず、一休さんの笑い話に次のようなものがあります。

見ザル聞かザル言わザルの三猿奇談

 あるお寺の門に三匹の猿が作り付けてありましたが、一匹の猿は両手で目をふさぎ、また一匹の猿は両手で耳をふさぎ、そしてもう一匹の猿は両手で口をふさいでいました。ある時のこと、三人連れの男がこの門前にやって来ました。そしてこの三猿を見て、「これは一体どういう意味だろうか?」と話し合いました。しかしいくら考えても答えは分かりませんでした。するとそこに、一休和尚が通りかかりました。三人はよいところに和尚様が来たと、一休和尚にこの三猿の意味を尋ねました。すると一休和尚は、次の和歌を詠んで答えとしたそうです。

 何事も見ざる言わざる聞かざるは
        ただ仏にも優るなりけり

 三人はこの和歌を聞いて、おおいに納得しました。そして、今日からこの和歌の通りに、見ざる、聞かざる、言わざるの生活をしよう。と誓いを立てました。
 するとその時、お寺の鐘がゴーンと鳴りました。すると聞かザルの誓いを立てた者がこう言いました。
「なんと心にしみる鐘の音だろう」
 すると、言わザルの誓いを立てた者が、
「聞かザルの誓いを立てたくせに、鐘の音に感動するとはなんたることだ」
 と言って手をたたいて笑いました。すると、見ザルの誓いを立てた者がこう言いました。
「まったく二人とも、聞かザルと言わザルの誓いを立てたのに、そのそばから誓いを破っているではないか!」
 すると二人が言い返しました。
「一体、君はどうしてそれが分かったんだ?」
「それは、お前たちの様子を見てたからだよ!」


後半の話は、沙石集の無言比べからとられているようですが、詳しくは、
うる星やつらの博物誌 命かけます、授業中!! をご覧下さい。

とまあこのように、一休さんの和歌では、「悪事」や「秘密」など特定の事柄を限定せず、「何事も」見ざる言わざる聞かざる。と言っているのです。

続きは、
三猿 日光東照宮 悪事 VS 秘密 part2

 クイズミリオネアの問題文は、
 しのblogアクションさんの ミリオネア・爆笑問題 
 を使わせて戴きました。 

 リンク: うる星やつらの博物誌 三猿

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三猿 日光東照宮 悪事 VS 秘密 part2

三猿 日光東照宮 悪事 VS 秘密 part1  からの続きです。
先に三猿についての、一休さんの笑い話を紹介したのですが、更に次のような話もあります。

 ある月の事、山王の猿たちが集まって、庚申待ちをしましたが、その時に親猿が小猿たちにこう言いました。
『お前たち、今夜は木登りではなくて、なにか面白いことをして楽しみなさい。』
 すると一匹の小猿は、両手で目を塞さいで見ザルになりました。もう一匹は両手で耳を塞いで聞かザルになりました。そして更にもう一匹は両手で口を塞いで言わザルになりました。
 親猿はこれを見てこう言いました。
『お前たち、庚申待ちをするのに、うまいことを考えたものだね。ところで世間では庚申というのは、神道では、猿田彦命(さるたひこのみこと)を祭り、また、仏教では青面金剛を本尊とすると言われていますが、本当は神道でも仏教でもありません。本来これは道家の教えなのです。そのいわれは、人の身中には三尸虫(さんしちゅう)という虫がいて、この虫はその人の善悪をよく知っていて、庚申の夜に天帝へ告げるので、この虫が天帝に告げるのを防ぐために、庚申の夜には寝ないでいるのです。これが庚申待ちのいわれなのです。まあ、それはそれとして、お前たちが、どうして見ザル・聞かザル・言わザルになったか話してごらん』

 そこでまず、見ザルになった小猿がこう答えました。
『目というものは、あらゆる欲の仲立ちとなるものです。金銀財宝を見ては、たちまち貪欲の念を起こし、美しい女性を見ると、たちまち淫欲の念を起こします。老子も五色は人の目をくらますと申されました。ですから私は、見ザルとなったのです』
 次に、言わザルになった小猿がこう答えました。
『わたしたちは、自分が褒められる言葉を聞くと喜ばしく思い、自分の悪口の言葉を聞くと腹が立ちます。また、他人を褒めるのを聞けば、羨ましく思います。このように言葉によって私たちはいつも惑わされてしまいます。老子も五音は人の耳を聞こえなくすると言っております。ですから私は、聞かザルになったのです』
 最後に、言わザルになった小猿がこう答えました。
『口はわざわいの門と申します。人の是非善悪を批評すると、悪い人には当然憎まれますし、人を褒めたとしても、褒められた人は、褒められた通りの行動をしなければならなくなります。孔子も金人の背に書かれた三緘についての言葉を胆に銘じて、言葉は謹むようにと申されました。ですから私は言わザルになったのです』


おそらく、日光東照宮の三猿も、もともとは、このような説話から、小猿たちが、見ザル・言わザル・聞かザル・の格好をしているのだと思います。

Part1 でも見たように、明治の日光東照宮のガイドは、三猿のことを、「庚申猿」と説明していましたが、当時は庚申信仰が一般に根付いていたわけですから、三猿、イコール、庚申猿ということだったのだと思います。 Wikipedia などで三猿の教えを、「秘密」とするのも、 三尸虫が、自分の秘密を天帝に告げないで下さい。という意味なのだと思います。でもその秘密とは、天帝に知られたくない自分の「悪事」ではあるのですが・・・・(^^)

現在では、三猿といえば日光の東照宮ですが、庚申信仰が広く一般に根付いていた頃には、庚申堂を持つ有名なお寺が他にたくさんあったわけですから、東照宮の三猿が特別視されることはなかったのかもしれません。

更にこの説話には続きがあります。


 親猿は、三匹の小猿の話を聞くとこう言いました。
『お前たちの言ったことは、なかなかよいことではあります。でもまだそれでは足りません。なるほど、目というのは物を見るのが職分であり、耳は声を聞くのが職分で、口は物を言うのが職分です。しかし、本当は目で見るのではなく、耳で聞くのではなく、口で言うのではないのです。目・耳・口は心の道具にすぎないのです。見るも聞くも言うも、みな心がすることなのです。ですから、心の目、心の耳、心の口をきちんと保つことさえ出来れば、外面にある目・耳・口を塞がなくても構わないのです。わかりましたか。』
 三匹の小猿は、親猿の言葉を聞いて心から感服しました。そしてこう言いました。
『では親猿さまは、何猿になりまするか?』
 すると親猿はこう答えました。
『私は、何事も思わザルになることにしましょう。目は節穴の如く、耳はキクラゲの如く、口は鰐口の如く、みなその役目を失って始めて世を安穏に渡ることができるのです』


この最後の親猿の話は、比叡山の最澄の説話がもとになっているように思います。

三猿堂の因縁

むかし伝教大師は、聞かざる・見ざる・言わざるの説にもとづき、比叡山に三猿堂を建立しました。そして、空・暇・中・(くう・げ・ちゅう)の三諦(さんたい)にあてて、三つの猿をつくり置かれました。第一に見ることを戒められて、一切の物を見ザル。一切の物を見なければ欲も起こらず腹も立ちません。物を見るからもろもろの煩悩が起こるのです。

 以下、見ザル・聞かザルについては省略

しかし、見ザル・聞かザル・言わザルになろうとしても、見まいと思って目を塞げば耳から入って妄念となり、聞くまいと思って耳を塞げば、目から入って煩悩となります。ですから、心のみだれを抑えることが肝要なのです。つまり、三諦一諦の妙理をうかがうには、心を澄ますことが大切であるということを教えるために、伝教大師は三猿堂を建立されたのです。

註:
伝教大師とは、最澄のこと。
空・暇・中の三諦とは、天台宗の三種の真理のこと。


このように、三猿の教えは、本来、「悪事」や「秘密」などを限定しているわけではなかったようです。

日光東照宮の、子どものときは悪いことを「見ザル、言わザル、聞かザル」 というという教えなのですが、まず、なぜ、「子どものときは」と限定されているのか? 大人になったら、悪いことを見てもいいのか? などと突っ込みを入れたくなりますが・・・(^^)

まあ、それは置いておくことにして、この「悪いことを」という限定は、もしかすると西洋の三猿である、

The three wise monkeys  
 "see no evil, hear no evil, speak no evil" 

を訳したものなのではないでしょうか? 庚申信仰が世間から忘れ去られ、有名な庚申信仰のお寺も廃され、三猿のことも忘れ去られた後・・・・

The three wise monkeys と日光の三猿との関係が驚きをもって紹介され、新な三猿の物語が必要になった時に、いわば逆輸入のような形で、no evil が日光の三猿に取り入れられたように思えるのですが、どうでしょうか?(^^)


2009.4.8 に少し手直ししました。

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